かふん症とは? 〜予防療法編〜

休養

前回の記事で花粉症とはどういった症状なのか、対処療法と予防療法の違いなどを勉強してきましたが、今回は、その予防療法をメインで考えていきたいと思います。

花粉症の都市伝説

花粉症界には、ちまたで噂されている都市伝説がいくつかあるようです。みなさんも聞いたことあるかもしれない説があるかもしれません。

【閾値(いきち)説、コップ理論】

花粉症の症状が出るか出ないかを、それぞれが体の中の定量的な入れ物に、どれだけ花粉症を溜め込んでいるかで説明しているモノです。

その人が持っている体の中の入れ物に、花粉がどんどん溜まっていき、その入れ物から溢れ出てしまうと花粉症が発症してしまうという考え方です。家族のように長年一緒に暮らしている人でも、花粉症を発症する人としない人がいるのは、それぞれがどれだけ花粉を溜め込んでいるかが違うためと考えることができます。

今では、この説、間違っているとは言い切れないようですが、少し考え方がズレてきているようです。体の中の入れ物から、花粉の量が溢れてしまい症状が出る人もいれば、50%しか溜まってないにも関わらず、症状が出始める人もいるそうです。したがって、この閾値説は、今では少し曖昧な考え方になりつつあります。

この閾値説は初めて発症するまでの話で、1度発症してしまうと、その後は50%しか溜まってない人でも関係なく症状が出てしまうようになるそうです。

【大気汚染説】

昔は花粉症患者が少なかったのに対して、近年では、国民病とも言えるほど花粉症患者が増えているのは、大気が汚染されてきているからだ、とする説。

花粉は破裂することでアレルゲン物質を出すとされていて、通常は2割ほどしか自然に破裂しないのに対して、空気中の汚染物質に花粉が衝突することで、8割ほどの花粉が破裂してアレルゲン物質を空気中に拡散するという説です。

この説、ある程度は納得できるのですが、この説に加えて、人々の生活が過度に清潔になり、その反動で免疫力が低下しているのではないかとする【免疫力低下説】

日本での林業の衰退により、花粉症症状が出やすい杉やヒノキが使われなくなり伐採されず増え続けているとする【林業衰退説】など、さまざまな要因が複雑に絡み合って患者数が増えているのかもしれません。

ここ20〜30年ほどで、日本の生活環境、自然環境が大きく変わった事に対して、私たちの身体が対応した結果、花粉症症状が出たと言えるのかもしれません。

花粉症は食原病!?

上記の様々な原因説がある中に、花粉症は食原病なのではないかとする説があります。ここからはこの食原病説を深掘りしてみたいと思います。

食原病とは、食べたものや飲んだものが原因となり、体に様々な症状を引き起こすことの総称です。食物アレルギーがその代表的なものですが、急性アルコール中毒のような、過剰摂取が体への悪影響を及ぼす病気は数多く存在します。

また、食原病の特徴として、原因となる食べ物を摂取しないことや、短期間での過剰摂取などを避けることで、症状を抑えることができる病気であるということです。

もし、花粉症が食原病であるとしたら、原因となっている食べ物を避ける事で症状を抑えたり、全く症状を出なくすることも可能だという事です。

花粉症が食原病であるとするメカニズム

花粉症が発症するメカニズムを簡単におさらいします。

そもそも、花粉症によって現れる鼻水や目のかゆみは体に炎症が起きている結果です。体はこの炎症反応を起こす事によって体に異変が起きている事を伝えたり、体に入ってきた異物を取り除こうとしたりします。

花粉はそもそも体内に入っても問題のないモノですが、体の免疫が花粉に対して過剰に反応してしまう事で体に炎症を引き起こしてしまいます。

では、この炎症反応を抑える事ができれば、花粉症の症状を抑える事ができると思いませんか?

花粉症の炎症の原因は体の中にある炎症物質であり、花粉ではありません。花粉はスイッチの役割をしているにすぎません。電流が流れていないところで、スイッチをオンにしても電気がつかにように、炎症物質がないところに花粉が来ても炎症は起こらなくなるという考え方です。

この炎症物質を増やす原因とされている一つが、アラキドン酸といわれています。このアラキドン酸は体内でオメガ6系の油から作られます。オメガ6系の油の代表的なものとして、リノール酸があげられます。

リノール酸が多く含まれている油は、紅花油・グレープシードオイル・とうもろこし油・大豆油・ごま油・サラダ油・なたね油などです。つまり、植物由来の油に多くリノール酸が含まれているという事です。サラダ油も、字面では健康そうに見えますが、花粉症の原因にもなりかねない油の一種という事になります。

これらの油をできるだけ控える事で、体内のアラキドン酸の量を減らし、花粉症の炎症反応を和らげられるという仕組みです。

このような理由で、花粉症は食べるものによって、症状が酷くなることも症状を和らげることもできるということから、食原病なのではないかという考え方があります。

積極的な油の摂りかた

前項で、摂るべきではないアブラがオメガ6系のアブラである事がわかりましたが、反対に、花粉症症状に対して、摂った方が良いアブラもあるようです。

それはオメガ3系の油です。オメガ3系の油として知られているのが、青魚に多く含まれている魚油、えごま油、亜麻仁油などです。

これらの油には体の炎症を抑える効果があるとされています。オメガ6系の油は体内で変化し炎症を引き起こすのに対して、このオメガ3系の油は、α-リノレン酸を多く含み、体内でDHAやEPAに変化し、炎症を抑える働きをします。

現代の私たちの食生活では多くのオメガ6系油脂が使われているという事もあり、相当な食事管理がない限り避けては通れないのですが、オメガ3系油脂を積極的に摂ることで、それぞれのバランスをとっていくことが重要です。

健康な人が、オメガ3:オメガ6=1:1〜4で維持できているのに対して、花粉症症状がヒドイ人は、オメガ3:オメガ6=1:5以上になっているようです。

オメガ6系油脂を減らす1つの対策としては、ファーストフードや洋食・中華などの外食を減らすことのほか、商品裏面の成分表を見ることが大切です。成分表の中に、植物油脂・ショートニング・マーガリン・米油・なたね油・ファットスプレッド等の表示がある場合は、オメガ6系の油を使用しているということになるので、なるべく控えるようにしましょう。

私自身、今まで普通に購入していたものの多くに植物油脂の記載があり驚きました。

また、オメガ3系の油を摂るためにも少し知識が必要です。魚の油は生でも加熱しても大丈夫なので、お刺身や焼き魚などが理想ですが、時間と手間がかかったり家計に厳しくなったりすることもあると思うので、缶詰で代用するのが便利だと思います。

えごま油や亜麻仁油は少し値は張りますが、クセがなく摂取しやすい油です。酸化しやすいといわれているので、日光や空気に長時間触れさせないように管理して下さい。できるだけ加熱しないで生のままの摂取が推奨されています。私の場合は、納豆にかけてそのまま食べています。サラダなどにかけても美味しく食べられると思いますよ!

おわりに

2記事にわたって花粉症の対策方法を書いてきました。現在でも花粉症患者がどうして増えているのかは解明されていません。そのため原因がわからないため、対処方法も情報が入り乱れている様子です。治療方法も開発されてきていますが、治癒率が高く継続性のあるものはまだ発展途上にあると思います。

それぞれの重症度も違い、対策方法も異なる厄介な症状ですが、少しでも科学的に正しい知識をつける事で、対策できることは増えていくと思います。今回の記事の中で、1つでも新しい発見があったら、活かしていただけると幸いです。また、その結果報告ももらえると飛んで喜びます。

Beyond Private Best‼️ 〜過去最高の自分へ〜

参考文献・サイト

『花粉症からあなたを守る食事学』菊池真由子 2013年2月22日発行

『花粉症が治ったよ!マンガでわかる体質改善』佐々木愛 2015年1月31日発行

『花粉症アレルギー性鼻炎 撃退BOOK』大久保公裕 他 2020年2月18日発行

『花粉症は自分で治す!!』田村みね子 2021年6月9日発行

『これが花粉症の本当の原因だ!』畑岡富士雄 2022年2月13日発行

『花粉症の正しい治療法』Dr.OBE 2024年2月3日発行

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